six-9のブログ

おっさんのブログ。エロゲとかアニメとか。

第27回文学フリマ東京 2017/11/23

行ってきました。
一年ぶり二回目。順調に経験(?)を積めている。嬉しいものだ。関東に住んだ甲斐がある。
体感だけれど、昨年*1よりも人が多いように感じた。順調にイベントとしても成長しているということだろうか。

 

 

購入したものとかフリーペーパー

f:id:six-9:20181126011531j:plain

 

「感傷マゾvol.01」は買おうと思ったけれども、売り切れだった。午後二時くらいに行ったのだが、すでに遅かった……。見本誌コーナーでざっと中身を立ち読みしたところ、やはり面白そうだった。新海誠と「果てしなく青い、この空の下で…」などのキーワードで感傷マゾを語る切り口は非常に面白い。ほしのこえ、あたりからの話も展開されていたら、と思うと読みたくなる。

かつて敗れていったツンデレ系サブヒロイン on Twitter: "感傷マゾって何だよと思われそうなので、文学フリマの会場で飾るための説明書きを作った。… "


他に、フリーペーパーで「新刊が落ちた話」や、ほしのたねのなんか、などをもらってきた。「新刊が落ちた話」って、サークル名なのか、書名なのかわからないけど、「虚無」ってワードがブースで目立っていて、めっちゃ気になった。

 

 

読んだ論考(速報)

飛浩隆に聞く「働きながら書き続ける10の方法」 SCI-FIRE 2018 特集 ライフハック

SCI-FIREは、前回文フリ東京でも買った気がする。宮内悠介インタビューだっけかな。まだ読んで居ないけど。一年寝かせている計算か。それにしても、「ヨハネスブルグの天使たち」は面白かった。
今回は、飛浩隆に聞く「働きながら書き続ける10の方法」というインタビューにつられて購入した。見本誌に、付箋がされていて、飛浩隆インタビューのページなど、見やすく展示されていたのも印象強い。購入につながった。インタビュー自体も良くできていた。恥ずかしながら、飛浩隆については詳しく無かったのだが、*2、仕事との調整*3や、家庭及び家族の犠牲(家族サービスなどはできないとのこと)を含めて、『とにかく書くしか無いですよ』という身も蓋もない話がざっくばらんな形式でまとめられていた。

平日は二時間くらいしか時間がない。だらだらテレビを観たり、録りためた映画を観たりするわけには行きません。外で酒も飲めないし、家で晩酌することもないです。睡魔と戦いながら書いて、あとで読み返すとひどい文章だけどそうやってじりじりすすめていく。

編集者とのやりとりについても、興味深いことが書いてあった。有馬トモユキが「いいデザイナーは、見ためのよさから考えない」でも同じようなことを書いていた。目標を共有するというか、手段ではなく、さらにその先の目的を目指して協力すること。”パイを広げる”ということ。

でも彼が出してきた改稿案に私は全く納得できなかった。それをそのまま取り入れても、私の小説にはならない。
 しかしそもそも彼が何を不満に感じているのか。その不満は彼がいうとおりに書き直したとして、それで本当に癒やされるのか。たぶん違うだろう、と思ったのです。彼のその不満の真の理由は別のところにある。


<エロマンガの読み方>がわかる本 思い出を共感に開くために ゴージャス宝田 「キャノン先生トばしすぎ」 新野安

 雑誌自体は、ゴージャス宝田の「キャノン先生トばしすぎ」論(新野安)に惹かれて購入。文フリ会場をぶらぶら流して居たところ、「エロマンガ」の文字につられて足を止めたところに、「足を止めたならこれも縁ですよ! 観ていってください!」*4と言われて見本誌の目次を眺める。”キャノン先生トばしすぎ”の文字を見て、購入を決定。「『キャノン先生トばしすぎ』が好きなんですよねー」と言ったら、隣のサークルさんも「私も一冊良いですか? キャントば、好きなんですよー」って言い出してきた。面白い。

当然、

思い出を共感に開くために ゴージャス宝田 「キャノン先生トばしすぎ」 新野安も、

とても興味深く読ませてもらった。かくいう僕も、「キャノン先生トばしすぎ」を読んで、エロマンガの凄さというか、熱さに感動した一人だ。
見出しから論旨を拾うと、キャントばの魅力としては、「問題の抽象化
入れ子の構造」「ポルノ性の不在」が挙げられる。どれも言われてみるとそのとおり。

問題の抽象化

「エロとか恋愛とか若い頃に感じる漠然とした疎外感みたいなモノは年代を問わず不変のテーマ」

 

入れ子の構造

貧太はイジメの中で失ったアイデンティティを当時のエロマンガに見出した。キャノン先生はセックスへの興味を周囲に拒否されたが、貧太のエロマンガに助けられる。二人の物語は一つに重ねられていた。

 

ポルノ性の不在

エロマンガについてのエロマンガ」としての『キャントば』にとって、エロマンガは、ありのままの自分の存在証明である。必ずしもエロティシズムの表現媒体ではないのだ。


アニクリ vol. 9.5 リズと青い鳥
少女の笑いと救い/傘木希美はなぜ笑ったのか? かつて敗れていったツンデレ系サブヒロイン(wak)

理科室と音楽室という場面から、民俗学者常光徹*5を援用しながら、非日常と日常の違い、そしてその転換を論じている。ところどころ、リズと青い鳥を見たときの鳥肌感を思い出しながら読んだ。

ちなみに、このアニクリ vol. 9.5は夏コミで購入できなかった。やっと買えた。嬉しい。

*1:2017年

*2:兼業作家であることも初めて知った

*3:かなりハードな時期もあったらしい

*4:今思うと、この方が新野安さんなのだろうか

*5:初めて知ったのだが、「学校の怪談」などの口承文芸の研究者らしい