もう発表から３年もたってるんですね．．．田中ロミオを嗜好する者としてこの３年前，楽しみにして来たRewrite．
- 出版社/メーカー: KEY
- 発売日: 2011/06/24
- メディア: DVD-ROM
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やっとプレイ終了．まだMemoryが全部埋まってない（Friend*1とQuestが虫食い）のだけれど，一応最後のエンディングまで見たのでとりあえず雑感をメモしておく．
[Caution] ネタバレ全開なので避けたい人は見ないでください．
感想．共同体構成の挫折と孤独の肯定
非常に面白い作品．C†C, 最果てのイマに続く田中ロミオの主要作品となれるものだと思う．プレイ中は小鳥，朱音，静流，篝の四人がロミオ執筆分だと思っていたけれど，どうやら静流は都乃河らしい*2ね．てっきりヒロインの名前が漢字→ロミオ，ひらがな→都乃河，カタカナ→竜騎士というサインだと思っていたけれど，どうやら違うっぽい．
攻略順が小鳥→ちはや→朱音→静流→ルチア となってしまったのが少し残念．御存知の通りルチア√は良くも悪くも竜騎士の個性が強く出ていて，悪く言えば冗長なつくりになっているので，Moonへ入る前にダレてしまった．
MoonからTerraにかけてのストーリー，というか世界観が今ひとつなのでもう少しプレイしてみたいところ．結局篝がどーなったのか？ とかラストシーンの意味とかがよくわからない．ここらへんも，Friend埋めると篝の説明が出てきてわかるのかもしれないけど*3．あ，そういえば篝ちゃんコメントに最萌えでした．今のところ『篝ちゃんコメント：すごく乱暴な説明ですっ（＞＿＜）』*4と『どうなっちゃっても篝ちゃんは責任取りませんからね！』*5の二回しか見てないけど，どっちもバックログで三回ずつ読みなおした．あ，今気づいたけどMoonってセーブするとチャプタータイトルが出るんだ．
時系列をまとめた考察は以下のブログがわかりやすかった．
- -
地球と月誕生。(同時に双子の篝も生まれる)
↓
人類誕生(前人類文明) ※静流ルートで存在が確認
↓
恒星間移民は達成出来ず、滅亡。
↓
再進化
↓
何回か文明の発達と滅亡、再進化を繰り返した？
↓
人類誕生(新人類文明)
↓
恒星間移民は達成出来ず、再進化するための資源も枯渇
↓
手付かずの資源が残っていた月へアウロラが移動
↓
庭文明の発達(多重化世界)/Rewrite共通・個別ルート
↓
月の資源も枯渇の危機・庭文明期間で地球は再進化一回分の資源が復活
↓
篝(月)が可能性を見出す/moon
↓
地球にアウロラを送還
↓
恒星間移民を可能とする魔法文明の誕生/terra
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プレイ後，原付やエレベーターに乗っているときなどにぼんやりと考えているのだけれど，Rewriteってすごく孤独な話だと思う．確かMoonでも『進化の原動力は孤独であることだ』みたいな文章があった気がする．そもそもTerraなんて小鳥や朱音といったヒロインと仲良くなることを避けないと人類滅亡しちゃうし，篝を助けるために他の人（江坂さんとか）を殺すまでしたのに，結局間に合わなくて篝を殺さなきゃなんなくて，おまけに上書きのしすぎで人間やめなきゃなんなくなるし．ヒロインズ５人の命は助けられたけど，一緒に過ごすことはできない．(オープニングのナレーション『そしてある日突然、自分がたくさんの時間を失っていると感じた』にもあるとおり）瑚太朗が昏睡して数年間もの時間を無駄にすることと，気の置けない仲間であるオカ研を結成することがトレードオフの関係にある．だからTerraへと続くMoonのエンディングでは『さあ，淘汰をはじめよう』*6となるわけだ．淘汰とは，ヒロイン達やオカ研を切り捨てること．
これまでのロミオ作品を考えてみる．C†Cでは放送部という仲間をつくろうとするが，失敗し，『放送』という一方通行の関係が限界だ，ということになる．最果てのイマでは，操作されていない，自然な仲間を欲するが，唯一の体現者であった章二は戦争により死亡してしまう．
今回のRewriteでは今度こそ，仲間（これは共同体とも言い変えてよいが）を作ることができるかと思っていたが，Terraをプレイしてみると全く逆に，仲間を切り捨てることで，仲間の命（もちろん人類全体の命も含むのだが）を助けることになる．もちろん，その葛藤は非常に強く描かれている．例えば小鳥の両親を撃つシーンだとか（これが小鳥との関係を破壊するシーン），篝を刺すシーンだとか．
孤独に歩め．悪をなさず求めるところは少なく．林の中の象のように
(仏陀)
これまでいくつもの作品で共同体づくりに挑戦してきたけれども，ついにその不可能性に直面して諦めてしまったのだろうか．僕（だけではなくロミオ信者はほぼそうだろうが）は共同体への憧れとうまく溶け込めないことへの劣等感を抱えているからこそ，ロミオ作品の主人公*7に心を打たれる．しかし，瑚太朗はオカ研を諦めてまで篝や人類を救おうとする．もはや共同体への参画は不可能であり，何かを得るためには人間関係を犠牲にしなければならないのだ，という強いメッセージを感じる．これまでのロミオ作品にあった「共同体を希求することvs共同体構成の難しさ」という対立構造が吹き飛んでしまったようで，僕は少し悲しい．同時に，僕の孤独さを肯定されたようで，安心する．この一抹の寂しさを伴う承認はこれまでのロミオ作品には無いものであり，これをもって僕はRewriteを非常に面白い作品だと思うのである．
なんかおんなじ意味のことを何回も長々と書いちゃったけど，これが一番強く感じた内容．
おまけ．
各ルート毎にちょこちょこ思った事や好きな言葉を箇条書きにしておく．
小鳥√
- 「二人は居場所を必要としない。「みんな」が集まるために、部室という場所が必要だったのだ」みたいな意味の文章があったけど，ロミオっぽくて良かった．オカ研メンバーがバラバラになっちゃって小鳥と二人だけになった後に無人の部室を訪れるシーン．
- 同じあたりで「上から見ると隣同士でも，横から見れば高さが違う．近そうに見えて大きな隔たりがあった．」みたいな文章も良かった．
ちはや√
- ちはや√は咲夜√の間違い．まんまFateの凛ルート．
- 「みんなお前みたいのだったら、良かったのにな」（瑚太朗）というガーディアンとの争いを止めることにしたちはやへの台詞はぐっときた．イマでいうあずさへの忍の台詞っぽくて好き．
朱音√
- 裸＋ネタの「衣類の民族だ！ 布を体にまといし衣民族が攻めてきたんだ！」は爆笑した．全般的にこのネタは笑った．
- 「人間、嫌いなの」「人がたくさんいて、その中で生きることが、つらいの」（朱音）．この台詞はいつものロミオですごく良い．桐子とか沙也加とかを彷彿とさせる．
- 「尊かったものが。価値有るものが。美しかったものが。すべて、貶められてしまう。愛も、絆も、全てが。」「転写対象を誘惑するために採用された戦略…それが愛情だとするなら、朱音の加島桜に対する複雑な愛憎も納得できる。」ここらへんの愛情をシステムとして活用することへの倫理的な憤りは最果てのイマの一つのテーマでもあった．
- 「いや、よく助けた。おまえ、超ヒューマンだぜ」（瑚太朗）という台詞は吉野と章二をダブらせる．でも，きっと吉野はどちらかというと伊勢崎宗多に近い気がする．Moonでも吉野だけが瑚太朗と対立してくれたことに感謝してる，みたいなことを瑚太朗が言ってたし．第二の章二を期待していただけに，吉野にはちょっとがっかり．
- 「自白…しますか？」（瑚太朗）
- 「あなたと、あなたの選んだ人々に、穏やかな余生がありますように」（朱音）．これには泣かされた．
- 朱音という名前は茜（空）と掛かっていて衰退してゆく人類の薄暮を象徴しているのかな．
静流√
- 静流√の日記には泣かされた．．．加奈や星ぷらでも日記系には号泣させられたことを思い出した．僕は日記に弱いのかも．
- 共通パートにあった静流の読心術って静流√のための伏線だったのね．
- 「僕は誰かって？」「君の隣人…親愛なる脇役です…ってか」（瑚太朗）っていう台詞の元ネタなんだろう？ 超能力者カップルとかの話だからスーパーマンとかかな？
ルチア√
- 次世代人類プロジェクトとか，ガーディアン側がバチカンとかの内部勢力にわかれているとかの設定はロミオっぽい．
- 「子ども社会の残酷なゲームの敗者」という表現にあるように，竜騎士が子どもの形成する集団も一つの社会であると捉えているのは，「見えないルール」という表現にとどめて，子どもは社会とみなせるのか，そもそも社会とは何か？ という問いかけを含んだロミオと対比して考えると面白い．
- ルチアを説得するのに「瑚太朗が必要としているから」という瑚太朗の意志が大事，というのはすぐに気づいたけど，なかなか瑚太朗がそこに考えを回さなくて歯がゆかった．ロミオだったら思いつくけど選択して良いのか倫理的に迷う，という葛藤で話を作るだろーなー，と思ってしまった．残念．
いじょ．
MoonとTerraやり直してもう少し考えをまとめてみたい．
